住宅ローン滞納から競売までの流れと期間・競売回避のための対処法も解説
住宅ローンを滞納すれば、最終的に自宅を競売にかけられることになってしまいます。
競売は、裁判所を介して行われる強制的な売却手続きです。相場よりも安い価格で売却されるだけではなく、室内調査や立ち退きなど、全ての過程で強制的に手続きが進むため、進売主にとっての負担は大きいです。
住宅ローンを滞納してしまうと、競売を免れることはできないのでしょうか?
今回は、住宅ローンを滞納してから競売にかけられるまでの流れと期間や、競売を回避するための方法などについて解説します。
住宅ローンを滞納しているけれど、競売だけは避けたいという方は参考にしてください。
住宅ローン滞納してから競売にかけられるまでの期間
まずは、住宅ローン滞納から競売までの期間について説明します。
1.滞納してもすぐに競売になるわけではない
住宅ローンの返済を滞納したからといって、すぐに家が競売にかけられてしまうというわけではありません。
住宅ローンの滞納をしてから2~3か月の間は、滞納していることを知らせる「督促状」や、法的手段で解決を図ることになることを知らせる「催告状」などが届くようになります。
この時点で、住宅ローンの借入れをしている金融機関に相談すれば、返済計画の変更(リスケジュール)に対応してもらうことで、無理なく返済を続けられる場合もあります。
参考記事:住宅ローン滞納時の相談はお早めに!金融機関への相談の手順と注意点
2.代位弁済後は競売開始の準備が進む
「催告状」が届いた後も、住宅ローンの滞納を続けると、「期限の利益の喪失通知」が届き、一括返済を要求されます。
しかし、住宅ローンの滞納を続けている状況では一括返済が難しいため、ほとんどの場合、そのまま「代位弁済」へと進みます。
代位弁済後は、住宅ローンの借入れをした金融機関から保証会社へと債権が移行します。
債権者となった保証会社からの一括返済要求に応じることができなければ、競売の手続きの準備が進められるという流れになります。
3.住宅ローン滞納から競売の申し立てまでは7~8か月程度
住宅ローンを滞納してから競売の申し立てが行われるまでの期間は、7~8か月程度です。
また、競売が開始されてから、買主に家を明け渡すまでは6~8か月程度の期間になります。
引越し先がまだ決まっていない等の売主側の事情を考慮して、家の明け渡しまでのスケジュールを調整してもらうことは原則としてできません。
家を競売にかけられるデメリット
住宅ローンの滞納を続けて家を競売にかけられると、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
競売によるデメリットを具体的に説明します。
1.相場よりも安い価格で売却される
競売の最も大きなデメリットは、相場よりも売却価格が安くなってしまうという点です。
安い価格になってしまう理由は、通常の売却と違って制約が多いからです。
競売の場合、裁判所が作成した物件資料から購入を検討しなければならず、通常の不動産売却のように内覧することができません。しかも、購入を検討できる時間が短いというデメリットもあります。
競売では入札の基準となる売却基準価額が設けられていますが、通常よりも買い手がつきにくいことを考慮して相場よりも低い価額が設定されています。そのため、相場よりも低い金額になりやすいといえます。
2.競売申し立て費用分を負担しなければならない
競売を行うには裁判所への申し立てが必要ですが、その際にかかる費用は債務者が負担しなければなりません。
債権者が競売の申し立てを行うため、申し立て費用も債権者が支払うように思われがちですが、実際は、債権者が費用を立て替えているだけで、最終的には競売の申し立て時にかかった手数料、予納金、登録免許税などの費用を請求されることになります。
競売の申し立て時に必要な費用は債権の金額によっても異なりますが、一般的な住宅の相場は100~150万円程度といわれています。
3.室内調査が強行される
競売開始が決定されると、裁判所によって現状調査が行われます。
現状調査では裁判所が指定した不動産鑑定士や執行官が自宅を訪問し、室内の写真撮影や周辺環境の調査などを行います。この調査により、競売の際に公開される資料が作成されます。
現状調査は拒否することができないため、室内調査にも協力しなければなりません。
拒否した場合は、裁判所の権限によって強制的に調査が行われることになります。
4.競売にかけられていることが周囲に知られる恐れがある
競売の情報は、裁判所やインターネットなどで公開されることになります。
偶然、自宅の住所を知っている知り合いに見られた場合、自宅が競売にかけられていることを知られてしまう恐れがあります。
また、情報が公開されると落札を検討している業者や一般の人が物件を確認するために訪れるため、周囲に知られる可能性もあるでしょう。
5.強制的に立ち退きさせられる
競売は、裁判所を介した強制的な手続きなので、債務者が「絶対に自宅を手放したくない」と考えていても、落札されて買主が入金すれば、自宅の所有権は移ってしまいます。
そうすれば、どのような事情があったとしても家から出て行かなければなりません。
引っ越し時期を交渉できるようなケースもありますが、ほとんどの場合は、自主的に明け渡しを行わなければ強制的に退去させられることになります。
6.引っ越し費用などの負担も大きい
競売の場合、落札者や債権者が、売却時にかかる諸費用や引っ越し費用を負担してくれるということはありません。そのため、それらの費用は全額自己負担となります。
一方で、競売を回避するために任意売却を行うことができれば、売却価格から各種費用を控除することが可能です。また、債権者との交渉次第で、売却価格から引っ越し費用を補填できるケースもあります。
参考記事:任意売却とは?任意売却のメリット・デメリットを解説
7.生活の再建が難しくなる
前述した通り、競売にかけられると、相場よりも低い価格で売却されることになります。
売却金は住宅ローンの返済に充てられることになりますが、低い価格で売却されているため、残債も多く残ることになります。
残債は一括返済を求められるため、競売後の生活は苦しくなることが予想されます。
返済が難しい場合には自己破産などの債務整理が必要になるケースもあるでしょう。
住宅ローン滞納による競売を回避するための対処法
住宅ローン滞納をすれば、最終的に家を競売にかけられてしまいますが、競売を回避するための対処法もあります。
競売を避けたい場合には、以下の方法で対処しましょう。
1.金融機関へ支払いについて相談する
住宅ローンの返済が厳しくなってきた時点で金融機関へ相談すれば、返済条件を見直す「リスケジュール」に応じてもらえることがあります。
リスケジュールには、返済期間の延長や、一時的に返済に猶予をもらう方法などがあります。
ただし、リストラ、病気、怪我などの正当な理由がなければ、リスケジュールに応じてもらえない可能性があります。また、リスケジュールすることで金利が引き上げられることもあるため注意が必要です。
2.アンダーローンなら通常売却する
住宅ローンの返済が難しいものの、家を売却すれば住宅ローンを返済できるようなケースもあるでしょう。
家の売却価格が、残っている住宅ローンを上回るようなケースを「アンダーローン」と呼びます。
この場合、通常の不動産売却により家を売却した上で住宅ローンを完済することが可能です。
住宅ローンを完済できれば、遅延損害金も支払う必要はありませんし、ブラックリスト入りするなどのデメリットも避けられます。
3.オーバーローンなら任意売却する
住宅ローンを滞納して競売を避けたいものの、家を売却しても住宅ローンの返済が残ってしまうオーバーローンの場合には、任意売却をするという手段があります。
任意売却はローンを組んでいる金融機関の承諾を得て行う売却方法で、売却後の返済は分割にしてもらうなど交渉することができます。
競売を避けるために有効な手段であり、競売の開札日の前日までなら任意売却を行うことが可能です。
任意売却は競売よりもメリットが多い?
住宅ローン滞納が続いて返済が困難な場合、家を競売にかけられるより、任意売却をした方がメリットは多いといえます。
任意売却には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
1.競売よりも高額で売却できる可能性が高い
任意売却は債権者の同意を得て行う売却ですが、売却活動自体は通常の不動産売却と変わりありません。一般市場で売却されることになるため、市場価格に近い価格で売却できる可能性が高いです。
競売の場合は市場価格よりも低い金額になってしまいますが、任意売却なら競売よりも高い金額で売却できるケースが多く、ローンの残債もより多く減らすことができます。
2.プライバシーを守りながら売却活動ができる
任意売却は通常の不動産売却と同じように売却が行われるため、周囲から住宅ローンを滞納していることを知られずに売却を行うことができます。
競売のような現状調査もないので、プライバシーを守りながら売却を進めることが可能です。
3.残債は無理のない返済計画で返済ができる
競売でも任意売却でも、売却益を差し引いてもローンが残る場合には残債を返済しなければなりません。このときに、競売の場合は一括返済を求められます。
一方で、任意売却では債権者と交渉することにより、分割での返済が認められる可能性があります。分割での返済が認められれば、無理のない範囲で返済をしていくことができます。そのため、家の売却後の生活を立て直しやすいといえます。
4.引っ越し費用の保証を交渉できる
競売では引っ越し費用は自己負担になりますが、任意売却では引っ越し費用について交渉することができます。
債権者は、少しでも高い金額で家を売却して返済してもらいたいと考えるため、引っ越し費用を捻出しても任意売却にしてもらいたいと考えるケースもあります。引っ越し費用を捻出してもらえる場合、家の売却代金から引っ越し費用が差し引かれることになります。
引っ越し費用は数十万円ほど必要になるため、費用を保証してもらえることは大きなメリットになります。
5.退去日を相談できる
競売では落札者が決まり、入金されれば退去しなければなりません。
退去しなければ不法占拠として扱われてしまい、強制退去させられることになってしまいます。
一方で、任意売却では買主と退去日を相談することができます。そのため、余裕を持って引っ越しに向けた準備などを行うことが可能です。
6.専門家に相談しながら進められる
競売は裁判所を介した手続きなので基本的に売却価格や売却時期等の調整ができませんが、任意売却では不動産会社と相談しながら進めることが可能です。
売却価格、売却時期、売却する相手、売却後の返済など自分の意思を反映させることができるため、自由度の高い売却方法だといえます。
債権者の同意は必要ですが、任意売却に強い不動産会社へ相談すれば債権者との交渉もしてもらえて、心強い味方になってもらうことができるでしょう。
任意売却をするなら任意売却に強い不動産会社へ相談を
任意売却は不動産取引になるため、不動産会社への相談が必要になります。
しかし、不動産会社は多数存在し、どの不動産会社へ相談すべきか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
任意売却をする際には、任意売却に強い不動産会社へ相談すべきです。
売却活動は通常の不動産売却と同様ですが、配分表の作成や債権者との交渉など専門的な知識が必要になります。
また、通常売却よりも手続きのスピードが求められるため、一般的な不動産売却を取り扱う不動産会社よりも任意売却の実績が多い不動産会社へ依頼する方がスムーズかつ的確に任意売却を進めることができます。
任意売却の不動産会社の選び方については、こちらの記事にまとめましたので、参考にしてください。
まとめ
今回は、住宅ローンを滞納してから競売にかけられるまでの期間や、競売を回避するための方法などについて解説しました。
競売にかけられると住宅ローンの残債も多く残り、生活の立て直しが困難になってしまう恐れがあります。
ローンが支払えないからと諦めて競売になるのを待つのではなく、競売よりも有利に売却できて家の売却後も生活の立て直しがしやすい任意売却を検討してみてください。
まずは任意売却の実績を豊富に持つ不動産会社に話を聞いてみることから始めてみましょう。
2Wayは、数多くの任意売却を成功させてきた実績を持つ不動産会社です。お客様の状況やご希望を丁寧にヒアリングした上で、ご希望に合わせたご提案をさせていただきます。
「任意売却を検討したいけれど、なにから始めればいいのかわからない」「自宅が競売にかけられそうで困っている」などというご相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。
- |2023.01.23