住宅ローン滞納を放置した場合のリスクと適切な対処法
住宅ローンを滞納してしまっている場合や、これから滞納しそうな場合、滞納することで今後どのようなことが起こるのかと不安になる方も多いでしょう。
住宅ローンを滞納し、そのまま放置し続けると最終的には自宅を競売にかけられる可能性があります。
しかし、すぐに競売にかけられるわけではなく、段階を踏んで手続きは進んでいきます。
そこで今回は、住宅ローンを滞納して放置するリスクや、適切な対処法について説明します。
住宅ローンを滞納した場合の適切な対処法も説明するので、併せて参考にしてください。
住宅ローン滞納を放置するリスク
住宅ローンの滞納を放置すると、どのようなことが起きるのでしょうか?
住宅ローン滞納を放置するリスクについて説明します。
1.自宅に督促状が届くようになる
住宅ローンを滞納すれば、借入れをしている金融機関から支払いを促す督促状が届くようになります。
家族に住宅ローンの支払いを滞納していることを秘密にしている場合、督促状によって滞納していることを知られる可能性があります。
滞納してすぐに督促状が届くわけではありませんが、2か月ほど滞納すると届くことが多いです。
2.連帯保証人に迷惑がかかる
住宅ローンを組んだ際に、親や兄弟・姉妹などの親族を連帯保証人に設定しているようなケースもあるでしょう。連帯保証人を設定している場合、住宅ローンを滞納すれば連帯保証人に迷惑がかかることになります。
連帯保証人は債務者が返済できない場合には、債務者の代わりに債務を返済することを約束している人だからです。
そのため、住宅ローンを滞納すれば連帯保証人に支払い請求が届くようになります。
連帯保証人にも請求が行われるようになるタイミングはケースバイケースですが、法律上では債務者が滞納した段階ですぐに債権者は連帯保証人に支払いを請求することができます。
3.遅延損害金が発生する
住宅ローンが返済日に間に合わなければ、その度に遅延損害金が発生します。
遅延損害金とは支払いが遅れたことに対する発生する損害賠償金で、ペナルティのようなものです。
遅延損害金については住宅ローンを組む際の契約書に記載されていることが大半で、一定の利率が定められています。
遅延損害金は滞納が長引くほど金額が上がっていくことになります。
4.ブラックリスト入りする
住宅ローン滞納を放置すれば、信用情報機関に事故情報として記録されることになります。
このことを「ブラックリスト入り」といいます。信用情報は銀行やクレジットカード会社、消費者金融などの金融機関が、新規借入やクレジットカードの新規発行を行う際に確認する情報です。
「ブラックリスト入り」すれば、各金融機関からは「支払い能力が無い」と判断されることになり、新規借入やクレジットカードの新規発行が難しくなります。
永久に事故情報が残るわけではなりませんが、最大5年間程度、記録が残ります。
5.分割で支払う権利を失う
住宅ローンは月々の分割で支払っていくものですが、滞納を放置すると、分割で支払う権利を失うことになります。このことを「期限の利益の損失」といいます。
住宅ローンの契約書には、滞納すれば期限の利益を失う旨が条項に記載されていることが大半です。そのため、滞納が長期化すれば「期限の利益の喪失通知書」が届きます。
この通知書が届いた段階で分割の権利が失われ、債権者から一括払いの返済を求められることになります。
6.家が競売で売却される
住宅ローン滞納を放置し続ければ、最終的に自宅は競売で売却されることになります。
債権者はローンの残債を少しでも回収する必要があるため、裁判所を通して競売手続きを進めます。
競売の購入者が入金をすれば、住んでいた家を退去しなければなりません。
立ち退かないような場合には、強制執行によって強制的に退去させられることになってしまいます。
また、競売では相場価格よりも安い金額で売却されることが多いため、残債も多く残ってしまいます。その残債は一括で返済しなければならないため、自己破産などの債務整理が必要になる可能性もあるでしょう。
住宅ローン滞納の放置から競売までの流れ
住宅ローン滞納を放置し続ければ、最終的には自宅が競売にかけられることになります。
住宅ローン滞納から競売まではどのような流れで進んでいくのでしょうか?
時系列に沿って競売までの流れをご紹介します。
1.金融機関から電話、もしくは請求書が届く
住宅ローンを滞納してからしばらくすると、住宅ローンを組んでいる金融機関から電話がかかってきたり、「請求書」などの書面が送付されたりします。
滞納して1日や2日ですぐに連絡がくるわけではなく、1か月程度経過した頃に連絡がくることが多いです。
2.督促状が届く
滞納して2か月ほど過ぎた頃になると、督促状が届きます。
督促状には、支払いが行われていないことや、滞納している期間について記載されています。また、このまま滞納が続けば期限の利益を喪失する可能性や、自宅が競売にかけられてしまう可能性があることについても記載されています。
3.催告状が届く
督促状を無視していると、滞納してから3か月程度経過した頃に催告状が届きます。
催告状は督促状と内容自体に大きな違いはありませんが、金融機関からの最後通告として送付されます。催告状に記載されている期日までに支払わなければ、法的手段によって解決を図るということを示す書面です。
4.期限の利益の喪失通知書が届く
催告状を無視していると「期限の利益の喪失通知書」という書面が届きます。
この通知書には、分割払いできる権利が失われたため、指定する期日までに残りの住宅ローン全額を一括返済するように記載されています。
債務者が金融機関と金銭消費賃借契約を締結する際には、支払日まで債務を履行しなくてもよいという利益である「期限の利益」が債務者に与えられています。この期限の利益によって債務者は支払日までは返済する必要はありませんし、債権者も請求することはできません。
しかし、期限の利益が喪失されれば、債権者は債務者に対していつでも一括返済するように要求できるようになります。
5.代位弁済通知書が届く
期限の利益の喪失通知書が届いた数日後に、代位弁済通知書が届きます。
代位弁済通知書とは、ローン保証会社が債務者に代わってローンの残金を支払ったことを通知する書面です。
金融機関で住宅ローンの契約を行う際には、金融機関と連携している保証会社と債務者で「保証委託契約」というものを締結します。
この契約は、債務者が住宅ローンを滞納した場合に保証会社がローン全額を代わりに返済するという内容です。そのため、代位弁済通知書が届いた時点でローンの債権は金融機関から保証会社へ移り、保証会社から遅延損害金なども含めた残債の一括返済が要求されます。
保証会社から代位弁済通知書が届けば、自宅が競売にかけられてしまう一歩手前ということです。代位弁済通知書に記載されている期日内に返済しなければ、競売の手続きが進められてしまいます。
6.裁判所から競売開始決定通知書が届く
代位弁済通知書を放置していれば、裁判所から競売開始決定通知書が届きます。
これは、保証会社が裁判所に競売の申し立てを行い、裁判所が申し立てを認めたことを債務者に通知するための書面です。
競売開始が決定されたことで、対象の不動産は強制的に差し押さえられることになります。
競売開始決定通知書が届くのは代位弁済通知書が届いてから1か月程度で、特別送達という郵便で送付されます。
特別送達で届いた郵便は、正当な理由なく受け取りを拒否することはできません。
7.現状調査通知が届く
競売開始決定通知書を受け取ってから1~2か月ほどすると、裁判所から「現状調査通知書」が届きます。これは、対象不動産を競売物件として一般公開するための資料を作成するための調査を行うことを通知する書面です。
現状調査では、執行官や裁判所が指定した不動産鑑定士が自宅を訪れ、物件の内部の写真撮影や周辺環境の調査などを行います。この調査は法律に基づいて行われるものであり、強制的な調査です。
そのため、調査を拒否することはできず、拒否した場合には裁判所の権限によって専門業者が鍵を開けて調査を行います。
8.期間入札通知が届く
現状調査を終えた2~3か月後に、期間入札通知が届きます。これは、競売によって入札が開始されることを知らせる書面です。
競売の入札期間や開札日などが記載されており、記載されているスケジュール通りに競売手続きが進んでいきます。最終的には最高落札者が物件を取得し、落札者が入金を終えると所有権が落札者へ移転します。
所有権移転後は速やかに退去しなければ、裁判所命令によって強制的に退去させられることになってしまいます。
住宅ローン滞納を放置する前にすべき対処法
住宅ローン滞納を放置すると、いずれ家は競売にかけられますが、その前に適切な行動をすることで競売を回避できる可能性があります。
具体的にどのような行動をすればよいか説明します。
1.借り入れをしている金融機関に相談する
住宅ローンの滞納をする前に、まずは借入れをしている金融機関に相談することをおすすめします。
相談することで支払い条件などを交渉し、返済計画の見直し(リスケジュール)を行えば負担が軽減され、無理のない範囲で返済を続けられる可能性があります。
住宅ローンをすでに滞納しているという場合でも、期限の利益が喪失される前であれば、リスケジュールに応じてもらえる可能性があるので、まずは相談してみましょう。
2.家の売却について検討する
リスケジュールをしてもローンを返済できる見込みがないような場合には、家の売却を検討しましょう。
家を売却すれば、売却代金を返済に充てることができます。
家の売却方法は、次の3つの種類があります。
①一般売却
家の売却価格よりも住宅ローンの残債が少ないアンダーローンの場合には、一般的な不動産売却の方法で売却することができます。
家を売却した代金で残っているローンを完済すれば、滞納状態も解消されます。
②任意売却
家の売却価格を住宅ローンの残債が上回るオーバーローンの場合には、任意売却という方法で売却を行います。
任意売却では家の売却代金をローンの返済に充てますが、それでも残ってしまう残債を金融機関と交渉して分割など無理のない方法で返済していくことができます。
競売よりも相場に近い価格で売却できる可能性が高いため、競売よりも残債を減らせるというメリットもあります。
ただし、任意売却を行うには債権者の同意が必要です。
③リースバック
リースバックは、自宅を売却した後も住み続けたいという場合におすすめの方法です。
リースバック専門の業者や投資家などに任意売却した家に、賃貸契約することで住み続けることができます。
3.任意売却をする場合は不動産会社に相談する
任意売却を行う場合には、不動産会社へ相談を行いましょう。
なぜなら、任意売却では価格査定や売却活動など不動産の専門家のサポートが必要になるからです。
金融機関に相談した際に任意売却を提案されるようなケースもありますが、金融機関から紹介される不動産会社は金融機関側の立場にあります。そのため、金融機関の利益を優先する可能性が高いので注意が必要です。債務者の味方になり、任意売却をスムーズかつ的確に進めてくれるような不動産会社を探すことが大切です。
任意売却の不動産会社の選び方については、こちらの記事にまとめましたので、参考にしてください。
住宅ローン滞納を放置している場合でも任意売却はできるか?
住宅ローンの滞納が長期化している場合、任意売却はすでに遅すぎるのではないかと諦めてしまっている方もいるかもしれません。
たしかに、任意売却は早く始めるほど時間的な余裕があり、売却活動をしっかり行うことができるため、高額で売却できる可能性があります。
しかし、競売の改札日の前日までなら実務的には任意売却が可能なので、諦めずに一度相談してみることをおすすめします。
まとめ
今回は、住宅ローンを滞納して放置するリスクや、適切な対処法について解説しました。
住宅ローンが支払えないからといって放置し続ければ、一括返済を迫られて家を競売にかけられてしまいます。住宅ローンの滞納は放置せず、少しでも早い段階で金融機関や不動産会社に相談するようにしましょう。
2Wayは、全国400事業者との物件売却ネットワークや徹底した現地調査による販売力を強みとする不動産会社です。住宅ローンの返済を続けるのが困難だけれど、オーバーローン状態で通常の売却ができない場合の任意売却にも対応しています。また、住宅ローンの返済が難しい状態だけれど、今の家に住み続けたいという方には、リースバックや親族間売買などの方法もご提案させていただきます。
「競売を回避して少しでも有利に売却したい」「住宅ローンを払えないけれど、今の家に住み続けたい」などというご相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
- |2023.01.20