任意売却とは?任意売却のメリット・デメリットを解説
任意売却は通常売却とは異なるため、任意売却をすることを簡単には決められないという方も多いのではないでしょうか。
任意売却は競売よりも高値で売却できる可能性があるというメリットはあるものの、デメリットが全くないというわけではありません。
そのため、任意売却を行うのかどうかは、任意売却のメリットとデメリットのどちらも把握してから決定したいものです。
そこで今回は、任意売却のメリットとデメリットについて解説します。
任意売却を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
任意売却とは
そもそも任意売却とはどのような売却方法なのでしょうか。
任意売却の売却方法や、通常売却・競売との違いについて解説していきます。
1.任意売却の概要
一般的な不動産売却は、住宅ローンを完済して抵当権を抹消することが条件となっています。しかし、住宅ローンの残債が売却価格を上回っているオーバーローンの状態では、一般的な不動産売却を行うことができません。
そのような場合に、債権者の同意を得て抵当権を解除してもらい、売却することを任意売却といいます。
任意売却は、住宅ローンの支払いが困難な状況に陥った場合に競売を回避するために有効な手段です。
2.通常売却との違い
通常の不動産売却は、住宅ローンを完済して抵当権を抹消することが条件なので、住宅ローンが事前に完済されているか、売却すれば残債を返済できることが前提となります。
つまり、売却によって住宅ローンを完済できるかという点が任意売却とは大きく異なります。
また、任意売却は抵当権が残った状態で行うため、債権者の同意を得て抵当権を解除してもらうことが必要です。しかし、通常売却の場合、債権者の同意を得ることなく自由に売却できます。
3.競売との違い
競売は、裁判所を介して行われる強制的な売却方法です。
住宅ローンの滞納を続けると、いずれ家は競売にかけられることになります。
任意売却は債務者の意思で売却活動を行うことができますが、競売は裁判所を介した手続きなので強制的に売却されます。
競売と任意売却には主に以下のような違いがあります。
売却価格 | 意売却より競売の方が安い価格で売却される可能性が高い |
---|---|
売却活動 | 任意売却は自分の意思を反映した売却活動ができるが、競売は裁判所により強制的に売却される |
引っ越しまでのスケジュール | 任意売却は買主との交渉が可能だが、競売は裁判所が決めたスケジュールに従う必要がある |
売却後の残債 | 任意売却では債権者との交渉により残債の分割払いができるケースが多いが、競売では一括払いを求められる |
プライバシー保護 | 任意売却はプライバシーが守られるが、競売は手続きが開始されると家の情報が公開される |
住み続けられる可能性 | 任意売却ではリースバック等の方法により住み続けられる場合もあるが、競売では住み続けられる可能性がない |
任意売却のメリット
上記の通り、任意売却は競売と比較して、メリットの多い売却方法です。
任意売却のメリットについて競売と比較しながら詳しく説明します。
1.市場相場に近い価格で売却できる可能性がある
任意売却の場合、売却活動は通常売却と同じように行われます。
任意売却を始めた期間によって売却活動ができる期間が異なりますが、しっかりと売却活動を行えば市場価格に近い金額で売却できます。
競売の場合は、入札者は内部を確認することができない等のデメリットがあるため相場価格よりも低い金額で売却されることが多いですが、任意売却なら一般的な不動産売買と同じレベルの価格で売却できる可能性があるのです。
2.売却に自分の意思を反映できる
任意売却では、通常の売却と同様に自分の意思を反映して売却活動を行うことができます。
買主との交渉により売却時期を調整して引越しスケジュールに余裕を持たせることも可能です。
一方で、競売になれば債務者の意思は全く反映されないため、売却価格に不満があっても売却せざるを得ない状態になります。また、購入者が入金すれば所有権も消滅するため、立ち退きを迫られることになります。
3.無理のない返済計画で残債を返済できる
任意売却では売却金後に残った残債は金融機関などの債権者との交渉次第では分割返済が可能になり、収入や生活状況を考慮した上で、無理のない返済計画立てることができます。
債権者の合意は必要ですが、ほとんどの場合、無理なく返済できるようなスケジュールに落ち着きます。
一方、競売になれば残債は一括で返済しなければなりません。
4.プライバシーが守られる
任意売却では通常売却と同様の売却活動が行われるため、住宅ローンを滞納していることを周囲に知られることなくプライバシーを守ることが可能です。
競売になった場合は、物件の情報は新聞やインターネットなどに告知されることになります。購入希望者が自宅や近所の調査のために訪れる可能性もあるでしょう。そのため、住宅ローンを滞納して自宅が競売にかけられているという事実を周囲に知られてしまう恐れがあります。
5.売却時の諸費用の負担を軽減できる
不動産の売却時には、各種費用が発生します。また、新しい家に引っ越しする費用も必要です。
しかし、任意売却では売却価格から各種費用を控除することが可能です。債権者との交渉次第で、引っ越し費用も売却価格から補填できるケースもあります。
6.今の家に住み続けられるケースもある
住宅ローンの返済は難しいものの、今の家に住み続けたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
任意売却の場合、リースバックなどの方法を利用して自宅に住み続けることが可能です。
リースバックとは、投資家などに自宅を買取ってもらい、家賃を支払うことで賃貸物件として住み続けるという方法です。
競売では売却する相手を選ぶことができませんが、任意売却では債務者が売却相手を選ぶことができるためリースバックを利用することができます。
例えば、今は療養中でローンが組めないけれど、元気になれば仕事に就いてローンが組めるというようなケースもあるでしょう。こうした場合にリースバックを利用すれば、ローンが組めない期間は賃貸として住み、ローンが組めるようになってから自宅を買い戻すということも可能です。
任意売却のデメリット
任意売却にはメリットだけではなくデメリットもあります。デメリットも理解した上で、任意売却にすべきかどうか検討しましょう。
任意売却における主なデメリットとして、以下の6つが挙げられます。
1.保証人や債権者の同意が必要
任意売却を行うためには、債権者の同意を得て、抵当権を解除してもらう必要があります。
そのため、売却活動は債務者の意見を反映できるものの、任意売却ができるかどうかは債権者が主導権を握っているといえます。
任意売却の経験が豊富な不動産会社の協力を得て、債権者の同意を得るために交渉しなければなりません。
また、ローンを組んだ際に保証人を設定していた場合、保証人の同意も必要となります。ローンの滞納や任意売却について保証人にも説明を行い、同意を得なければならないのです。
3.早く引っ越さなければならない可能性がある
任意売却では通常の売却と同様の売却方法になるため、場合によってはすぐに買主が見つかる可能性があります。
そうすると、予想外に早く引っ越さなくてはならないようなケースもあるでしょう。
一方で、競売は裁判所に申し立ててから落札までに半年~1年程度かかり、落札者の入金までは住み続けることができます。そのため、競売の方が長く住み続けられる可能性があります。
ただし、いずれにしても退去しなければならないため、任意売却のデメリットとは言えないかもしれません。
4.期間中に売却できなければ競売になる
任意売却は競売を避けるために有効な手段ですが、売却活動をいつまでも続けられるというわけではなく、任意売却が実現できない場合もあります。任意売却は競売の手続き開始後も可能ですが、競売の手続きと同時進行している場合、競売の開札日の前日までに手続きを全て完了している必要があります。
競売の開札日の前日までというタイムリミットまでに売却できない場合や、売却が見込めないと判断された場合は、競売の手続きに進んでしまいます。
5.残債の支払いは残る
任意売却をすれば売却代金を住宅ローンの支払いに充てることができますが、任意売却は住宅ローンの残債が売却価格を上回っているオーバーローン状態の場合に行われるので、任意売却後も住宅ローンの残債が残ります。
そのため、任意売却をして終わりというわけではありません。
任意売却後の残債は、競売とは異なり一括ではなく、債権者の合意を得て分割で返済していくことが可能なので、競売と比較すると負担は軽減されます。
6.悪徳業者も存在する
任意売却を行う際には、不動産会社や任意売却専門の仲介業者などに協力を依頼して進めていきます。
しかし、任意売却業界には、悪質な業者も存在するため注意が必要です。
悪徳業者の場合、「高値で売却します」などの誇大広告を掲げていることが多いです。
実際にはあまり売却活動を行わず、手数料だけを取られてしまうようなケースも少なくありません。
悪徳業者に依頼すると、任意売却を実現できずに競売にかけられる可能性が高いので、不動産会社選びは慎重に行いましょう。
任意売却を検討すべきケースとは
任意売却を検討すべきケースは、住宅ローンの支払いが難しくなっていて、自宅を競売にかけられそうな場合です。既に住宅ローンの支払いが滞っている場合は早急に検討しなければなりません。
なぜならば、任意売却を進めるのであれば早ければ早いほど売却活動を長く行うことができ、高値で売却できる可能性も高まるからです。
以下のようなケースに該当する場合、任意売却について検討してみてください。
- 住宅ローンを組んでいる金融機関から督促状が届いた
- 収入が減ってしまい、住宅ローンの返済が難しくなってきた
- 家賃収入が住宅ローン返済額を下回っている
- 税金の支払いを滞納していて、自宅が差し押さえられてしまった
- ・裁判所から競売開始決定の通知書が届いた
任意売却は不動産会社への相談が必要
任意売却を検討する場合、まずは不動産会社へ相談しましょう。
任意売却ではなく通常売却で対応できる場合もあるので、まずは査定を依頼して、売却予想価格を確認しましょう。住宅ローンの残高が売却価格を下回るアンダーローン状態の場合は、通常売却が可能です。
住宅ローンの残高が売却価格を上回るオーバーローン状態で、手持ちの資金で差額を補填できない場合は、住宅ローンの完済により抵当権を外すことができないため、任意売却を検討することになります。任意売却を行う場合は、債権者に提出する書類の作成、債権者との交渉など、不動産会社によるサポートが必要です。
そのため、不動産会社選びは任意売却を成功させるために、非常に重要なポイントだといえます。
不動産会社を選ぶ際には、任意売却の実績がある会社を選ぶようにしましょう。任意売却は通常の売却とは異なり、不動産会社側も任意売却に関するノウハウや経験が求められるからです。
不動産会社によって、対応の早さやアフターフォローなども異なるため、比較しながら慎重に選ぶことをおすすめします。
まとめ
今回は、任意売却のメリット・デメリットについて解説しました。
任意売却には、相場価格もしくはそれ以上の価格で売却できる可能性が高く、売却後の残債も分割で無理なく支払っていくことができるというメリットがあります。
ただし、債権者の同意が必要になりますし、期間中に売却できなければ競売にかけられてしまいます。
そのため、任意売却の手続きを進めるサポートをしてもらう不動産会社は、任意売却の経験を豊富に持つ不動産会社を選ぶことが大切です。
2Wayは、数多くの任意売却を成功させてきた実績を持つ不動産会社です。お客様の状況やご希望を丁寧にヒアリングした上で、ご希望に合わせたご提案をさせていただきます。
「任意売却を検討しているけれど、なにから始めればいいのかわからない」「自宅を競売にかけられて困っている」などのご相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。
- |2023.01.12