住宅ローン滞納時の相談はお早めに!金融機関への相談の手順と注意点
経済状況の悪化により住宅ローンを滞納してしまい、今後どうすればよいのか相談したいけれど、どこに相談すればよいかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
住宅ローンの支払いが困難な状況に陥っている場合、早い段階で住宅ローンの借入れをしている金融機関に相談すれば状況を改善できる可能性があるので、早めに相談することが大切です。
今回は、住宅ローン滞納時に早めに金融機関に相談するメリットとデメリット、住宅ローン滞納時の相談のタイミング、相談前の準備や相談の手順などについて解説します。
早めに金融機関に相談するメリット
住宅ローンの支払いが難しい状況に陥ったら、まずは住宅ローンの借り入れをしている金融機関に相談しましょう。
金融機関に相談することにより、どのようなメリットが得られるのか具体的に説明します。
1.支払い計画を見直してもらえる可能性がある
住宅ローンの借り入れをしている金融機関に相談すれば、無理のない範囲で返済を続けられるよう返済計画の見直し(リスケジュール)をしてもらえる可能性があります。
2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、住宅ローンの支払いが困難になる方が急増しました。そのような状況下で、金融庁は、住宅ローンの貸付をしている金融機関に対し、返済の見直し等の柔軟な対応を行うよう通達を出しました。通達を受けた金融機関は、住宅ローンの返済が困難になった方の相談に応じています。
金融機関で相談して、毎月に支払い額を減額してもらうことができれば、毎月の負担を抑えながら無理なく支払いを続けられる可能性が高くなります。
2.競売の回避につながる
住宅ローンの滞納が長期化すると、いずれ自宅を競売にかけられてしまいます。
競売にかけられると、相場より大幅に安い価格で強制的に売却されるため、損失が大きく、経済的な基盤を立て直すことが難しくなります。
しかし、住宅ローンの滞納がまだ1回か2回であれば、金融機関に相談して返済計画の見直しなどを行うことにより、競売を回避できる可能性は十分あります。
金融機関に相談するデメリットと注意点
金融機関に相談するメリットについて説明しましたが、デメリットや注意すべき点もあります。
1.家計に関する厳しい指導を受ける可能性がある
金融機関に相談するデメリットとして、家計に関する厳しい指導を受けることがあるという点が挙げられます。
毎月の家計の収支について細かく質問される上に、無駄な支出を抑えるよう厳しく指導されることもあるため、その点は覚悟しておきましょう。
住宅ローンの支払いが困難な状況は、家計を見直すことで改善できる場合もあるので、金融機関の担当者からアドバイスを受けた点は、できる限り実行することをおすすめします。
2.根本的な解決策ではないという点には要注意
金融機関に相談して、毎月の返済額を減額してもらうと、当面の間、家計の負担が減って楽に生活できるようになります。しかし、返済額の見直し(リスケジュール)はあくまでも一時的な救済措置であり、根本的な解決策とはいえないという点には注意が必要です。
リスケジュールして返済期間が長くなった分、利息の負担が増加し、総返済額が増えるケースも多いです。リスケジュール後に転職などにより収入が増えた場合は、再度、返済スケジュールを見直して返済期間を短縮してもらうことで、総返済額の増加を抑えることができます。
また、リスケジュールの期間は通常、半年か1年間です。その後も支払いが困難な状況が続いた場合、再度、リスケジュールが認められるとは限りません。そのため、遅くても1年後には、従来通りに住宅ローンの返済ができるよう経済的な基盤の立て直しを目指すことが大切です。
住宅ローン滞納時の相談のタイミング
金融機関にはいつ相談に行けばよいのでしょうか。住宅ローン滞納時に金融機関に相談するタイミングについて説明します。
1.早ければ早い方がいい
金融機関に相談するタイミングはできる限り早い方がいいです。まだ住宅ローンを滞納していなかったとしても、近い将来、住宅ローンの支払いが困難になることが明らかな場合は早めに相談することをおすすめします。
「会社の経営状況が悪化して給料が減り、住宅ローンを支払う経済的な余裕がなくなった」「病気で働けなくなり、しばらくの間は住宅ローンの支払いができない状況だ」などという場合は、すぐにでも金融期間に相談しましょう。
早めに相談することで、より負担の少ない方法で解決できる可能性が高くなるので、可能な限り早い段階で相談することをおすすめします。
2.タイムリミットは滞納から3か月
住宅ローンを滞納してから1か月から2か月程度は、督促状などの書面や電話による支払い催促が行われます。この時点で、指定された期日までに遅延損害金を含む滞納分を支払うことができれば、大きな問題にはなりません。
しかし、3か月以上滞納を続けると、「期限の利益喪失予告書」などと記載された内容証明郵便が届きます。期限の利益とは、民法で定められている債務者の利益の一つで、ローンなどを分割で支払うことを認めてもらえる利益のことです。期限の利益を失うと、分割払いが認められなくなるため、金融機関から住宅ローンの一括返済を求められることになります。
期限の利益を失った後は、債務者が一括返済できない場合、代位弁済が行われます。代位弁済とは、ローン契約の際に保証を依頼した保証会社が、債務者に代わって残債務の一括返済をすることです。代位弁済後が行われた後は、競売の準備が進められることになり、この時点で金融機関に相談しても手遅れです。代位弁済を回避するためにも、遅くても住宅ローン滞納後2か月が経過する前に金融機関に相談することが大切です。
相談の準備
金融機関にはできる限り早い段階で相談するべきですが、相談に行く前には、最低限、以下のような準備をしておくことをおすすめします。
1.状況を整理する
金融機関に相談する際、「住宅ローンが払えなくて困っているので、相談に乗ってください」としか言えないのでは、相談された側がどのように対処すればよいか判断できません。
まずは、なぜ住宅ローンの支払いが困難な状況に陥ってしまったのか説明できるように、ご自身の状況を整理しましょう。
転職により毎月の収入が落ちた、病気になって働けなくなった上に入院費や治療費がかかるようになった、離婚して養育費の支払いが必要になったなどの事情がある場合、その事情の詳細とその事情が発生した時期を説明できるように準備しましょう。
2.毎月どの程度の支払いが可能か考える
次に、毎月どの程度の金額なら無理なく返済できるのか考えてみましょう。転職などにより収入が落ちた場合は、毎月の返済額を減らすことにより返済を続けられる可能性もあるでしょう。
失業や入院により、現状はほとんど支払いができないという場合、その状態がどの程度の期間続きそうなのか考えてみましょう。
現在の状況と今後の見通しについて、現時点でわかる範囲でかまわないので、可能な限り数値化して説明できるよう準備しておくことが大切です。
金融機関に相談する手順
金融機関に相談に行く前の準備が整ったら、早めに相談しましょう。
1.窓口に相談する
住宅ローンの貸付を行っている金融機関の多くは、現在契約中の方向けの相談窓口を設けています。まずは、その相談窓口に連絡して、住宅ローンの支払いが困難な状況に陥っているので相談したい旨を伝えましょう。
その後の流れは金融機関によって異なりますが、一般的には、担当者から折り返し連絡があり、面談の日程を調整することになります。
2.担当者との面談で説明を受ける
担当者との面談では、住宅ローンの支払いが困難になった理由、今後の見通し、毎月無理なく支払える金額などを、できる限り詳しく説明します。
その上で、担当者から返済計画の見直し(リスケジュール)の内容について説明を受けます。リスケジュールの内容は金融機関によって異なりますが、例えば、フラット35では、以下のような種類の救済措置が用意されています。
- 返済期間の延長
- 一定期間における返済額の減額
- ボーナス返済分の返済額の変更やボーナス返済の取りやめ
具体的には、半年または1年間は毎月利息のみを返済するというプランに変更するケースが多いようです。その期間は元本を返済しなくて済むため、毎月の負担が大幅に軽減されることになります。
参考URL:月々の返済でお困りになったときは(フラット35)
3.リスケジュールの申し込みをして審査を受ける
リスケジュールは金融機関に相談すれば必ず認めてもらえるというものではありません。通常は、リスケジュールの申し込みをして、審査を受けることになります。審査では、主に返済能力の有無を判断されることになるため、安定した収入を得られているか、近い将来に得られるようになる見込みであることを事前に証明することが大切です。
無事に審査に通過した場合は、返済条件等が記載された契約書を交わし、以降は契約書の内容に従って返済をすることになります。
金融機関に相談しても解決しない場合は
金融機関に相談してリスケジュールを認めてもらえた場合は、その内容に従って返済を続けることになるため、ひとまず安心です。しかし、金融機関が相談に応じてくれない場合やリスケジュールの審査に落ちてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
1.連帯保証人に連絡
住宅ローンの契約時に連帯保証人を立てている場合、住宅ローンの滞納を続けると、連帯保証人にも請求が届くようになります。そのため、住宅ローンの滞納が長期化する前に、連帯保証人に連絡して、住宅ローンの支払いが困難になっていることを伝えてください。
離れて暮らしている親や子などの家族を連帯保証人にしている場合などは、滞納していることを知られたくないかもしれませんが、保証会社などから直接請求が届く前に伝えることが大切です。
2.売却を検討する
住宅ローンの返済の目処が全く立たない場合は、自宅の売却を検討しましょう。住み慣れた自宅を手放したくないと思われるかもしれませんが、早めに売却することで、その後の生活を立て直しやすくなる場合も多いです。
家の売却価格が住宅ローンの残高を上回り、売却により住宅ローンを完済できる場合、通常の不動産売却手続きにより自宅を売却することが可能です。まずは、複数の不動産会社に査定を依頼してみましょう。インターネットの一括査定サービスを利用すると、手間をかけずに複数社に査定を依頼できます。
3.オーバーローンの場合は任意売却も検討
査定をした結果、家の売却価格を住宅ローン残高が上回っているオーバーローン状態であることが発覚することも少なくありません。住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければ、一般的な不動産売却はできません。不足分を手元の資金から捻出して住宅ローンを完済できれば問題ありませんが、住宅ローンを滞納している状態では手元の資金から捻出するのが困難な場合が多いはずです。
このような場合に、債権者と交渉して同意を得た上で、売却することを任意売却といいます。任意売却は、競売を回避するために用いられる方法です。競売のように所有者に過度な負担がかかることなく、競売よりも有利な売却を実現することができます。
ただし、競売の手続きが開始してしまった場合、競売の開札日の前日までに任意売却を完了しなければ、強制的に競売で売られてしまいます。開催日の前日というタイムリミットがあるので、早めに着手する必要があります。任意売却の流れについては以下の記事にまとめましたので、詳しく知りたい方は参考にしてください。
まとめ
今回は、住宅ローン滞納時に早めに金融機関に相談するメリットとデメリット、住宅ローン滞納時の相談のタイミング、相談前の準備や相談の手順などについて解説しました。
住宅ローンの支払いが困難な状況に陥っていた場合は、可能な限り早い段階で金融機関に相談することが大切です。また、金融機関に相談しても返済の目処が立たない場合は、早めに売却を検討することが、競売を回避して有利に売却することにつながります。
2Wayは、全国400事業者との物件売却ネットワークや徹底した現地調査による販売力を強みとする不動産会社です。住宅ローンの返済を続けるのが困難だけれど、オーバーローン状態で通常の売却ができない場合の任意売却にも対応しています。また、住宅ローンの返済が難しい状態だけれど、今の家に住み続けたいという方には、リースバックや親族間売買などの方法もご提案させていただきます。
「競売を回避して少しでも有利に売却したい」「住宅ローンを払えないけれど、今の家に住み続けたい」という方はぜひお気軽にご相談ください。
- |2023.01.18