任意売却の不動産会社の選び方のポイントと注意点
住宅ローンの支払いが困難になった場合、そのまま滞納を続ければ、いずれ自宅が競売にかけられてしまいます。
競売では一般的な売却よりも低い価格で売却されることが多いですが、その前に任意売却をすれば競売よりも高い金額で売却できる可能性が高まります。
しかし、任意売却は一般的な不動産売却とは異なるため、どのような基準で不動産会社を選べばいいのかわからないとお悩みの方は多いでしょう。
そこで今回は、任意売却における不動産会社選びのポイントや注意点、任意売却業界の悪徳業者の特徴と見分け方などについて解説します。
任意売却をする際の不動産会社選びのポイント
不動産会社選びは、任意売却の成否に大きく影響するため、慎重に選ぶことが大切です。
任意売却をする際の不動産会社選びで必ず押さえておきたい5つのポイントについて説明します。
1.任意売却の実績が豊富であること
任意売却を成功させるためには、専門的な知識やノウハウが必要です。
任意売却は一般的な不動産売却とは異なる手順を踏んで行わなければならないからです。
任意売却を実現するためには、債権者の合意を得る必要があるため、配分案を作成して債権者と交渉を行うことになります。
配分案とは、不動産売却で得た利益を各債権者へどのように配分するかを記載した資料です。配分案には、仲介手数料やマンションの修繕積立金などの控除費用を差し引いた売却予定の価格が記載され、この配分案をもとに債権者は任意売却へ同意するか判断します。
配分案を作成して債権者との交渉を有利に進めるためには、任意売却の専門知識だけではなく、豊富な経験が求められます。
特に競売が並行して進んでいる場合は、競売の開札日前日までというタイムリミットがあるため、迅速に進めていく必要があります。このタイムリミットまでに任意売却が完了していないと、競売により家を売却されてしまいます。
任意売却の実績を豊富に持つ不動産会社なら、状況に応じて迅速かつ柔軟な対応ができるため、タイムリミットまでに債権者との交渉により最終的な合意を得られる可能性が高いです。
任意売却の実績を豊富に持つ不動産会社かどうかを確認するには、不動産会社の公式サイトを確認しましょう。任意売却を得意としている不動産会社の公式サイトには、過去の実績や具体的な事例などが掲載されているはずです。
2.サポートの手厚さ
不動産会社によってサポートの体制や内容は異なります。そのため、不動産会社を選ぶ際には、サポートの充実度にも注目すべきです。
任意売却について相談したいと考えても、問い合わせや電話相談では丁寧に対応してもらえずに、来店を強く促されるかもしれません。また、査定や相談で料金が発生する場合もあるので、まずは査定や相談に対して丁寧に対応するサポート体制が整っているのか確認しましょう。
売却に向けたサポート内容も不動産会社によって違いがあり、売却する際の清掃や修繕など充実したサポートを提供している不動産会社もあります。このようなサポートがあれば、よりスムーズかつ高額な売却ができる可能性が高くなります。
また、任意売却後のアフターフォローも重要なポイントです。
任意売却が完了した後は、住宅ローンの残債が発生するため、その残債の支払いをどのようにするかという問題が残ります。任意売却後のアフターフォローを丁寧に行っている不動産会社は、無理のない範囲で返済できるよう債権者と交渉をしてくれます。
また、任意売却後は、リースバックなどの一部のケースを除き、引越しを行う必要があります。債権者の交渉次第では、売却代金から引越し費用を出してもらえる場合もあります。
任意売却後の費用負担を減らすために手厚いアフターフォローを行っている不動産会社を選ぶことで、任意売却後、経済的な基盤を立て直しやすくなります。
3.依頼者の希望を丁寧に聞いてくれること
依頼者の希望を丁寧に聞いてくれるかどうかという点も、任意売却の不動産会社選びでは重要なポイントです。
競売を避けるために任意売却を検討している方の中には、住宅ローンの支払いは困難な状況だけれど、どうしても今の家に住み続けたいという強い希望をお持ちの方もいらっしゃいます。依頼者の希望に丁寧に向き合う不動産会社は、そのようなご希望についても丁寧にヒアリングして、リースバックや親族間売買など今の家に住み続けられる方法を提案してくれるはずです。
任意売却さえ成功できればいいという場合でも、相談した際に、ご自身の状況や希望を丁寧に聞いてもらえるか、希望に合う提案をしてもらえるかをしっかり確認して、信頼できる不動産会社なのか見極めることが大切です。
4.売却までのスピード感
前述した通り、任意売却には、競売の開札日前日までというタイムリミットがあります。
タイムリミットまでの限られた時間の中で、債権者との交渉から売却に向けた活動、売却手続きを進めなければなりません。
競売の開札日が迫っている場合は、よりスピーディーに売却する必要があります。どの程度のスピード感をもって対応してもらえるのか、事前に確認しておきましょう。
5.料金システムの明白性
任意売却の不動産会社選びの際には、料金システムの明白性にも注目してください。
具体的な料金の提示がない場合や、料金の提示を後回しにするような会社は悪徳業者の可能性があるので注意が必要です。
相談の際には、必要な費用について説明を受けて、疑問に思う点については質問し、納得した上で依頼を検討しましょう。
任意売却業界の悪徳業者の特徴と見分け方
任意売却業界には悪徳業者が存在し、お金を騙し取られてしまうようなケースもあるため、注意が必要です。
任意売却業界の悪徳業者の特徴や見分け方について説明します。
1.DMや訪問営業によりアプローチする
任意売却業界だけではありませんが、悪徳業者は情報収集力が高く、困っている人を狙ってアプローチしてきます。
物件が差し押さえになって競売にかけられると、裁判所によって掲示される「配当要求終期の公告」に住所などの個人情報が公開されます。その情報をもとに、悪徳業者が訪問営業、電話、DMなどでアプローチしてくるようになります。
タイミング良くDMや訪問営業などでアプローチしてくる業者は、悪徳業者である可能性が高いです。特に、「引越し費用○○円保証」「売却代金○○%キャッシュバック」「成功報酬○○円支払います」など、目を引くような謳い文句を並べている業者には要注意です。
このような金銭的な利益を期待させる謳い文句を掲げている業者は悪徳業者である可能性が高いと考え、安易に依頼しないようにしてください。
悪徳業者の中には、宅地建物取引業の免許さえ持っていない業者も少なくありません。また、最初は親身になって話を聞くふりをして、最終的には脅迫まがいの方法で契約を締結させようとするような業者も存在します。
悪徳業者に依頼すると任意売却を実現できずに競売にかけられる可能性が高いので、DMや訪問営業などによるアプローチは無視して、ご自身で慎重に不動産会社を選ぶ事が大切です。
2.料金形態が不明瞭
悪徳業者の場合、料金形態が不明瞭なことが多いです。
任意売却において仲介手数料などの手数料は、本来であれば前払いで請求されるようなことはありません。発生する費用は不動産の売却価格から配分されるからです。
そのため、任意売却を行う前や売却後に手数料や相談料という名目で金銭を要求される場合は悪徳業者である可能性が高いです。
業者によっては不明瞭な手数料などを請求してくるようなケースもありますが、仲介手数料以外の手数料を請求することは宅建業法違反に該当します。
3.手数料などを先に取ろうとする
任意売却業界の悪徳業者の典型的な手口の一つに、手数料などを先に支払わせた後、連絡が全く取れなくなるという手口があります。
前述した通り、任意売却では売却価格から仲介手数料は分配されます。そのため、契約締結の際に手数料の前払いを請求された場合は悪徳業者であると考えてください。
4.「通常売却よりも高額になる」など魅力的な提案ばかりする
悪徳業者は魅力的な提案をすることで騙そうとします。
任意売却では少しでも高額な金額で売却して債務を減らしたいと考える方が多いため、「通常売却よりも高額になる」という謳い文句でアプローチしてくる業者もいるでしょう。
しかし、任意売却の物件は本来であれば競売にかけられる物件なので、一般的な不動産売却より高額になることはほとんどありません。
任意売却の目的は競売の前にスピーディーかつ競売よりも高額で売却することなので、一般的な不動産売却と比較すること自体が間違っているともいえます。
5.売却活動を積極的に行わない
悪徳業者だけに限ったことではありませんが、依頼した不動産会社が積極的に売却活動を行ってくれないというトラブルもあります。悪徳業者のため依頼だけ受けて手数料を最初に騙し取り、売却活動を行わないようなケースもあるでしょう。
また、任意売却の実績が少ないため、債権者との交渉が難航し、売却活動を進めることが難しいというケースもあります。任意売却はタイムリミットまでに、債権者との交渉や売却活動を完了させる必要があるため、任意売却の実績を持つ不動産会社を選ぶことが重要です。
専任媒介契約を締結しても不動産会社の変更は可能
不動産会社と専任媒介契約を締結した後、信用できない不動産会社であったことが発覚する場合や、不動産会社が誠実に対応してくれないと感じる場合もあるでしょう。
専任媒介契約を締結してしまったからには不動産会社は変更できないと思われるかもしれませんが、専任媒介契約を締結した場合でも不動産会社の変更は可能です。
不動産会社を変更するタイミングや方法について説明します。
1.契約期間が過ぎたタイミングで変更する
専任媒介契約をしている場合、最大3か月で契約期間が終了します。
不動産契約には一般媒介契約もありますが、一般媒介契約でも原則として3か月が契約期間とされています。契約期間終了のタイミングで契約解除の申し入れを行えば、問題なく契約を終了させることができます。
一方で、契約期間に定めのない契約を締結しているような場合もあるでしょう。この場合は、契約期間中いつでも解約を申し込むことができます。
2.正当な理由があれば契約期間中でも変更できる
任意売却を成功させるためにはスピードが重要なので、契約期間の満了まで待てないというケースも多いでしょう。
契約期間中でも、正当な理由があれば、契約を解除して不動産会社を変更することは可能です。
正当な理由として、以下のような理由が挙げられます。
- 誠実な対応をしてもらえない
- 依頼したのに売却活動をしてもらえない
- 最初に手数料を取られてしまった
このような理由以外でも、不動産会社が解約に合意すれば、解約が可能です。
いかに迅速に売却活動をスタートさせるかが任意売却の成功の鍵を握ることになるので、不動産会社を変更したいときは早急に解約を申し出るようにしましょう。
3.不動産会社を変更する際の手続き
不動産会社を変更する際には、まず契約を締結している不動産会社に契約の解除を申し出ます。
申し出は電話やメールなどでも問題ありませんし、店舗に訪問して直接伝えることもできます。ただし、契約中の仲介業者が悪徳業者の可能性がある場合は、訪問して直接伝えると予期せぬトラブルに発展する可能性もあります。
このような場合は、内容証明郵便を利用して契約解除の旨を書面にして送付することをおすすめします。内容証明郵便で送付すれば配達日時や内容などが証明されるため、「そんな書面は受け取っていない」などと主張されることを回避できます。
まとめ
今回は、任意売却における不動産会社選びのポイントや注意点、任意売却業界の悪徳業者の特徴と見分け方などについて解説しました。
任意売却業界には悪徳業者も存在するので、DMや訪問営業などによるアプローチは無視して、信頼できる不動産会社を選びましょう。
任意売却を成功させるためには、スピード感が重要なポイントなので、任意売却の実績を豊富に持つ不動産会社を慎重に選ぶことも大切です。
2Wayは、数多くの任意売却を成功させてきた実績を持つ不動産会社です。お客様の状況やご希望を丁寧にヒアリングした上で、ご希望に合わせたご提案をさせていただきます。
「任意売却を検討しているけれど、なにから始めればいいのかわからない」「自宅を競売にかけられて困っている」などのご相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。
- |2022.12.22